夏目漱石も生きづらさを感じていた
ちょっと前から読んでいた夏目漱石の随筆集を読み終えました。夏目漱石も生きづらさに悩んでいたんだなということが端々に感じられる1冊でした。
以下JLogosのサイトより
【名言名句】
智に働けば角が立つ情に棹させば流される意地を通せば窮屈だとかくに、人の世は住みにくい
【解説】
『草枕』冒頭に出てくる名句。人づきあいの難しさを説いたもの。世間の人とつきあうときには、頭のいいところが見えすぎると嫌われる。あまりにも情が深いとそれに流されてしまう。また自分の意見を強く押し出すと、衝突することも多く世間を狭くする。人づきあいというのは、智と情と意地のバランスを上手にとらなければならず、なかなか困難なことだ、というのである。
もし世の中に全知全能の神があるならば、私はその神の前に跪ずいて、私に毫髪(ごうはつ)の疑いを挟(さしはさ)む余地もないほど明らかな直覚を与えて、私をこの苦悶から解脱せしめん事を祈る。でなければ、この不明な私の前に出て来るすべての人を、玲瓏透徹(れいろうとうてつ=玉のように透き通って美しいこと)な正直ものに変化して、私とその人との魂がぴたりと合うような幸福を授けたまわん事を祈る。今の私は馬鹿で人に騙されるか、あるいは疑い深くて人を容(い)れる事ができないか、この両方だけしかないような気がする。不安で、不透明で、不愉快に充ちている。もしそれが生涯つづくとするならば、人間とはどんなに不幸なものだろう。(三十三より)
この一節は特に人間関係に関して苦悶する様子が描かれた部分ですが、この本から感じ取れる漱石の観察眼は繊細な感性から生み出されるものであり、人間関係に限らず、人生全般における生きづらさは避けて通れないものだったんだろうなぁと思いました。
青空文庫で無料で読めますが、やはり文庫本で注釈つきは読みやすくて助かります。